意匠CADからプレカットCADへ

木造住宅の意匠CAD(工務店・ビルダー側)とプレカットCAD(プレカット工場側)間、プレカットCADとプレカットCAD間のEDI(Electronic Data Interchange)の現状は、それぞれシステム毎に違ったデータ形式で開発され、連携項目、フォーマット等もバラバラで互換性が全くなく、プレカットCADから意匠CADへのプレカット側が生成したデータなどを返還する仕組みも未完成でした。

木造住宅産業の合理化、工務店支援ネットワーク、SCM、IT化を進める上でも、両CAD間のデータ連携仕様の標準化を図ることが急務となってきました。

意匠CADデータをCEDXM変換してプレカット工場に送れば、プレカット工場での入力作業を省力化できるので、概算見積もりや構造伏図の作成にかかる時間を短縮することができます。
早い段階で構造検討を行うことができ、安全性能にも寄与します。


設計図面の作成

CEDXMに対応した意匠CADで設計図面を作成

例えば105角の柱と120角の柱、平面図上では同じように見えますが、それぞれ実寸法を入力すれば、CEDXM連携でその情報をプレカット工場に伝えることができます。

CEDXM連携のためのチェックポイント

  • 基準高さ情報の確認
  • 通り芯情報の確認
  • 柱寸法は入力された情報のまま連携されるので実寸法で入力
  • 柱の種別、寸法および偏心の設定
  • 屋根伏図、立面図等も作成しておく
  • 全ての横架材の芯座標を指定(仕口は属性変更で指定)
  • 金物情報は横架材、柱の属性で指定

詳細はお使いの意匠CADメーカーにお問い合わせください。

CEDXMへの変換

意匠CADのデータをCEDXMファイルに変換します。

CEDXMデータはXML形式で、テキストで記述されています。そのため、膨大な情報量を小さなファイルにすることができます。

住宅1軒分の図面はCADデータだと大きな容量になりますが、CEDXMであればメールに添付して送れる程の小容量になります。

連携CAD一覧

CEDXMのデータの中身

部材1つ1つについて、位置や寸法、樹種などの属性が<開始タグ>と</終了タグ>で構造化されている。

  • <名称>垂木</名称>
  • </種類>
  • <寸法><寸法1>45</寸法1><寸法2>45</寸法2></寸法>
  • <樹種>米松</樹種>
  • <等級>特1等</等級>
  • <始点3D 点="5770.15925,6174">
  • ...

プレカットCADでCEDXMを読み込む

プレカットCADで読み込む要素を選択し、CEDXMフォーマットを読み込みます。

プレカット工場でCEDXMファイルを読み込む際に

  • 指定した情報のみを読み込むことができます。
    加工しない等の理由で半柱・間柱の情報を読み込みたくない場合、プレカットCADにて読み込みの可否を指定することできます。
  • 樹種・等級などの文字列は、プレカットCADが持つマスタに任意に割り当てることできます。
  • 足りない端部加工などを入力します。
    取り込んだ連携ファイルのデータには、意匠CADでは、必要とされない端部加工情報などが入力されていない場合が多くあります。必要に応じて追加入力してください。
  • 基礎レベルは連携ファイルを作成する際に指定します。

各操作方法は各社異なります。実際の操作方法などは、各社のマニュアルをご参照ください。

連携CAD一覧
プレカットCAD画面例

プレカットCAD画面例

加工検討・伏図作成見積もり

平・立面図や柱の位置などの基本的な情報が既に入力されているので、伏図や見積もりの作成時間が大幅に短縮されます。

プレカットCAD画面例

プレカットCAD画面例

プレカット図承認・加工依頼

伏図が確定したら、プレカット工場から送られてくる最終CEDXM情報を読み込み、プレカット図承認、加工依頼を行います。

CEDXMに変換された最終図面データは、軸組加工や構造のデータとしてだけではなく、構造部と取り合う周辺の建材などのデータとしても使える可能性を持っています。

まさにこれからのプレカットを考える上でデータの連携、一元化ということは非常に大きな拡張性と発展性があります。

また、受け取ったデータを生産側からまた建築側に戻すことで、確定した伏図を元にすることで構造計算の精度が高まり、性能表示がより正確に、迅速にできるという効果もあります。

CEDXM開発の前提に意匠CADとプレカットCADとでデータの受け渡しが簡単にできるようにするということがありました。ところが、最近のプレカット工場では、羽柄材や金物加工が増え、ラインが異なった機械メーカーで構成されるケースも多くなってきたため、その加工にも引き継いだデータが利用できれば、効率アップや加工ミスを減らすことにもつながるという声も高まっています。