前年度来の企画だったが、ようやく重い腰があがった。予定では新・プレカット工場紀行だったが、newではなくneoとしたのは、単に「新しい」というのではなく、過去をベースにしつつ「新しさ」をとらえることにある。その視点が「情報連携」。
木造建築生産の主要工程である軸組加工(大工作業)は、戦後の電動工具の普及から機械化≫ ライン化≫自動化≫そしてCAD・CAM化を経て、情報自動生成化≫情報連携化におよんでおり、AIによるさらなる進化がうかがえる。軸組加工の機械プレカット化の経緯については、筆者はその黎明期より、全国各地の工場を見て歩く機会に恵まれ、その経過をプレカット工場紀行など*1)で報告してきた。また、軸組プレカット加工のため情報については、「倣い」の様々な試みを経て、設計CADからプレカットCAD/CAMへのデータ受け渡しが行われるようになると、データのフォーマット標準化、ルール化が求められるようになり、この作業*2)にも、参加の機会を得てきた。この成果の広報・開発・改良・維持管理にあたる中立的組織の設立(2003)と活動を経て、NPO法人シーデクセマ評議会が設立(2008)され、現在に至っている。
CEDXM(データ交換のための中間ファイル形式)は自己拡張性に優れたXML形式を採用、連携項目の拡張、表現・寸法・高さなどの統一、3Dデータ、必須項目の決定などの検討を重ね、ver10(第10版)に至っている。初期は、プレカットのためのデータを工場が受けるという立場だったが、2015年ごろから木構造の耐震シミュレーションソフト・wallstat *3)とのデータ連携により、工場からのデータ渡しという機能に重みを備えてきた。
また、2020年ごろから、BIMのためのIFC連携にも参加、建築全体の共通言語として、積算、審査、工事管理、維持管理におよぶGX・DXのためデジタル基盤となる可能性を持ちはじめた。木造建築生産にとって、軸組加工工程における情報の生成、連携が占める役割は大きくなっている。その現場はいまどうなっているのか。新しい動きをとりあげ、その変容をたどりながら、その進化にともなう影響や効果などを年寄りの眼からとらえてみたい。
*1)「住宅と木材」(日本住宅・木材技術センター・月刊誌)に工場訪問記(プレカット工場紀行・風土記・新しき風)として162回(1991年~05年3月)にわたり、松村秀一氏(当時東京大、現神戸芸術工科大学長)と隔月で担当
*2)「地域住宅資材利用促進事業(農林水産省補助事業(1999-2002)を経て、「木造住宅CAD/CAMデータ連携標準化仕様書(2003)」にまとめられた
*3)開発者・中川貴文氏(現・京都大学生存圏研究所准教授/耐震性能見える化協会代表理事)
写真:出荷を待つプレカット部材と送り状(2025.11 福井・クラシス社にて)