データを一方向に投げっぱなしにするのではなく、互いに投げ返しながら精度を高めていく。これを「投げっこ」と呼び、この相互協調の関係構築をCEDXMファイルを介して試みた松本照夫*1)氏の報告*2)を紹介しよう。
従来の業務プロセス(図-1)では、構造設計側で作成・計算した図面をPDFでプレカット工場へ渡すのが一般的だった。工場側は図面を見ながらデータを一から入力するため、二重入力による時間のロスや手戻りが生じる。
この課題に対し、松本設計ホールディングス*3)とタカキ*4)が実証実験を行った。両社にとってCEDXM連携は初の試みだったが、柱位置、梁断面、通り芯、屋根形状などの基本属性情報が正常に引き継がれることを確認した。すべてを完璧なデータとして渡すのではなく、「柱・梁の基本フレームを確実に読み込み、細部はプレカットCAD側で補正する」と割り切ることで、業務負担を大幅に削減できる感触を得たという。
理想的なフロー(図-2)は、意匠データを構造側が正しく取り込み、CEDXM化してプレカット会社へ渡す。さらにプレカット側のデータを構造側が読み込んで計算入力を省力化し、計算結果に基づく変更はプレカット側で精査・承認する。こうして入力の手間を省きながら、データの精度を確保する。CEDXMデータは製造ラインにとどまらず、耐震シミュレーションソフト「wallstat」との連携による耐震診断・性能評価にも活用を広げている。
普及の鍵は、意匠・構造設計者が「正確な3Dデータ」を入力する意識を持つこと、そして設計者とプレカット工場がデータ運用について共通認識を持つことだ。住宅より規模の大きい建物が増え、プレカット入力の負担も増す今、「投げっこ」型の連携はますます重要になる。実績を積み重ね、標準的な手法として業界で共有していくことが、人手不足を乗り越える鍵になるだろう。
*1)松本設計ホールディングス株式会社取締役会長、当評議会理事
*2)総会基調パネルセッション・「構造設計事務所とプレカット会社のCEDXMによる総合連携」(図-1.2は配布資料より)
*3)松本設計構造㈱をはじめグループ8社、意匠・構造・省エネ性能評価から確認申請代行までをワンストップで提供、設立・1991年、本社・国立市、https://matsumoto-sekkei.com/
*4)株式会社タカキ、プレカット事業(工場/東大和・狭山・日高)、住器・建材、住宅事業など、創業・1956年、本社・東大和市、https://www.takakigroup.net/
前・プレカット工場紀行46 (住宅と木材1995.7)に訪問記
図-1
図-2
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