プレカット工場は、設計・構造の情報を木材の加工への変換地点。と同時に川上の設計と川下の施工を結ぶ、木造生産の重要な「結節点」でもある。
先のパネルセッションで、ヨドプレ株式会社*1)の稲岡真紀子氏*2)の言葉が耳に残った。連携には「もらう」「あげる」「つなぐ」の三つがあるという。意匠から加工データを「もらう」。構造や施工へ「あげる」。どちらも一方向の受け渡しだが、「つなぐ」は違う。前後の工程が同じ土台の上で情報を共有し、互いの修正が次の工程に生きる。バトンを渡して終わるのではなく、走路そのものを共有することにある。
ヨドプレでは、2007年に設計サポート部門立ち上げ、プレカットのMP-CADと設計サポートのアーキトレンドの連携に取り組んだ。当時は、同一物件での重複入力の発生、手入力による手間と時間増、入力ミスや手戻り、紙ベースでのやり取りと確認作業増など、慢性的な問題を抱えていた。双方向データ連携の構築の結果、一棟(35坪)あたり約40分の短縮、月45棟以上では月30時間を超える効率化が実現した。また、ミスの削減や標準化による業務の安定化にもつながったという。この導入にはCADの性格の違いや作業手順のばらつきなどの課題もあった。それを乗り越えたのは話し合える環境のもとで、目的の共有、ルールの標準化、手順の整理、そして段階的な導入と改善であった。
ここで重要なのは、工場一社の「時短」だけではない。工場が速くなっても、川上でのつくり直しや川下での手戻りが残れば、一棟全体の総手間は減らない。設計・構造・工場・現場が「つながる」ことで、工程をまたいだ無駄を初めて減らすことになる。「つなぐ」とは、自社の秒を削るだけではない。木造建築生産の総和でとらえ、人手不足の時代に業界全体の生産力を底上げする。プレカット工場は単なる加工の場ではない。情報を「つなぐ」結節点となるための「CEDXMへの課題と期待」*3)(図)が示された。
*1)ヨドプレ株式会社、 兵庫県加西市、1990年設立、年商約79億円、従業員約180名、プレカット加工を主軸に設計サポート・資材販売・建築事業を展開。https://www.yodop.jp/
*2)同社 CAD一課課長
*3)2026年総会・基調パネルセッション・配布資料「つなぐが変えた業務改善―CAD連携の実践事例」より
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構造設計とプレカット加工図の「投げっこ」